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2021年の振り返り

さばいでぃー!

皆さんこんにちは、ラオスのラオ子です。

 

ラオスの国内新規感染者は増える一方、2022年1月1日からは、トラベルエージェントを利用したツアーであれば観光目的での入国が許可されることになりました。そこにはもちろん日本も含まれています。

 

政府発表では、オミクロン株の国内感染者は確認されていないとのことですが、ワクチン接種の必要回数接種が完了した割合もまだまだ50%に届かない状況で、2022年には人の往来がどっと増えることになるので、これからどうなっていくのかなあと不安に思っているところです。

 

さて、いよいよ2021年も終わりということで、いつも「ああどうしよう何もしていない」と焦るだけの自己肯定感の低い人生なので、「できたこと」がちょっとでもあったらさも凄いことかのように書きながら、1年の振り返りをしておきたいと思います。

 

1月

今年の1月は、神社ご奉仕のアルバイトからスタートしました。もう、干支一周以上、滋賀で年末年始を過ごすときにお世話になっている神社です。ですが、こんなにも参拝客が少ないことがあるのかと思うほど静かな年越しで、毎年の戦場みたいな三が日は何だったんだと思うほどでした。

1月前半はずっと神社だったのですが、後半からオンラインのマンツーマンラオ語レッスンを再開しました。2020年いっぱいは報告書をひたすら書いてひたすらネイティブチェックしてもらうというライティング中心の勉強で、その時は書いた文章をほとんど直してもらうレベル。千本ノックを受けているような感じです。インプットがあまりに多くて、一旦アウトプットしないと次に行けない気がしたので、2019年のハンディクラフトフェスのときにコミュニティ開発隊員が書いた報告書をあらためて翻訳してみることにしました。この報告書は、コミュニティ開発隊員全員で来場者に向けて手工芸品の意識調査を行い、評価グリッド法という方法で分析したものを、M隊員がまとめてくれたものです。大学院卒業の人が書く論文調の文章の語彙がそもそも難しい、内容も抽象的な表現が多く難しい、辞書で引いてももちろん出てこない、と、明らかに翻訳の練習にする題材間違えたやろって思うぐらい、あらゆる方向からドツかれまくってのたうち回りながら翻訳しました。(そしてほとんど赤が入りました。)

 

  

こちらに書いた『みみタロウキャラバン隊』の報告書を書き終えていろんなことがひと段落ついた1月終盤、再派遣までの生活費をなんとかすべく、人生で初めて派遣会社の面接を受けました。

 


読んでね。

 

2月

無事、派遣の仕事開始!ドラッグストア通算7年目。そして3社目。管理者要件を満たしているので割とどこでも雇ってもらえてありがたいです。派遣社員なので、仕事はもちろんフルタイムで、月160時間+残業ちょびっと。コロナ渦でのドラッグの仕事、それまでに無かったいろんな難しさを感じながら働きました。コロナ渦だかららこそ軽傷のときは自分でなんとかしたい、こんな症状が出たけど病院にかかるのも怖い、と相談される事もあり、受診勧奨するタイミングかどうかとか今まで以上に考えながら接客対応して、これはこれで良い経験になったと思ってます。

 

そしてこの月も、1月に引き続きひたすらラオ語レッスン。午前中にラオ語レッスン受けて、午後は仕事行って、遅番で22時すぎに帰宅して、予習復習して、また朝からレッスン受けて、と、仕事とレッスンの2本立てでかなりメリハリのある生活をしました。(そのあと集中の糸がすべて切れる日がきます)

 

3月、4月

3月以降も引き続き、仕事に語学に、ひたすら繰り返しの日々。3月末に兄家族が実家に戻ってくることになり、私をHATEしてやまない可愛い甥っ子に激しく拒絶されながらも一方的に愛をぶつけるだけの人生でした。

語学レッスンは、報告書の翻訳を一旦終えるところまでやり切りました。その後、今まで習った単語をエクセルにまとめ始め、単語だけだと使い方を忘れてしまう恐れが大いにあったため用例を書き、それをひたすら先生に添削してもらうという新たな千本ノックを始めました。そしてこのタイミングで、次の隊次の訓練のために先生がオンラインレッスンできなくなり、私自身も一休みすることに。

 

5月

3月ごろに話し合いをして、私の再派遣予定は、6月末~12月までの6か月間になるはずでした。現隊員で唯一ハンディクラフトフェスでのブース出店を経験した身として、次の隊次の人たちに引継ぎをしたい!という気持ちがあり、10月末~11月初旬のハンディクラフトフェス2021に参加できるように、この期間を選んだわけです。

 

ところがどっこい、さて来月末にはラオス!!と思っていたら、ラオス側がロックダウンしてしまって公用旅券や入国許可などの諸々の手続きが進められない、とのことで一旦延期になりました。最低でも7月になるだろうと見通しが立たなくなり、6月20日付で退職予定だった私は派遣会社と派遣先に頼み込んで特例で1か月延長させてもらうことにしました。(本来は3か月更新)

 

6月

「ああ・・・今ごろ荷物詰めてたはずやったのに・・・」「ほんまやったらもう空港行ってるはずやったのに・・・」と、考えても仕方のないことを考えて落ち込む日々。そして7月の渡航も無理になり、ワクチンを打たないと渡航できないという新たなハードルも追加されて、「え?ここまで待ったのにもうハンディクラフトフェスできひんのちゃうん?」と、日本に帰ってから一番落ち込みました。

協力隊を一足先に卒業している同期と、こっそりご飯やドライブしたのですが、それがどれほど支えになったことか。

そして、ここで仕事がなくなるとまた生活面でのストレスが増える(そしてただでさえ無い貯金が減る)ので、派遣会社と店長に2回目の一生のお願いをして、8月末まで延ばしてもらうことになりました。感謝永遠に。

 

7月

ここで一気に急展開。7月20日に1本目のワクチンを打てることになり、そして派遣も最短で8月下旬になりそう、というところまで見通しが立ってきたのです。頭がついていかず、とりあえず3か月ほぼほぼさぼった(たまーに受けた)オンラインレッスンの予約を入れて、お買い物リストを作り始めました(笑)

 

 

出国に向けてテンションあげて、また延期になったらしんどいしな~と暗い気持ちを引きずるなか、こうやって先輩隊員から刺激を貰えたことが救いになりました。

 

8月

9月11日のフライトに決まりました、との事務所からの連絡に「どうしよう!!準備ができてない!!」と焦りだす私。2本目のワクチンを打ち、敦賀方面に何度か釣行し、あ、花王と資生堂のPAYPAY祭やってる!!とあっては必需品を爆買いし・・・と、特筆すべきことのない1か月でした。

ただ、7月に引き続き、この月も先輩隊員に会える機会があり、

20日に退職してから、オンラインレッスンの予約をぱんぱんに詰め、この1年半の待機中全くやってこなかったリスニングとスピーキングを強化すべく、ひたすら先生と喋りまくる日々を過ごしました。

 

9月から

ラオスに来てからのことは、気持ちが溢れてしまってダイジェストでお送りできません。ブログとnoteに、その時その時思ったことを何らかのタイミングでまとめていますので、時系列にすべて貼り付けてみます!

 

www.laoko.net

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note.com

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任期を消費していくだけの首都待機もまた辛い日々でしたが、今はこうして任地に居て毎日活動できているので、やっぱりラオス戻ってきてよかった、戻ってこれてよかった、と心から思ってます。

 

そして今、ປີໃໝ່ສາກົນ(国際正月)の大晦日、思い出したかのように時折あがる花火の音を聞きながら、この記事を書いております。

 

活動のこと

さて、延長戦に入ってからの活動のことも少し触れておきたいと思います。

 

正直、未だ右肩上がりの感染拡大をみせるラオスのコロナ渦で、活動をどこまでやって大丈夫なのか探り探りだったこともあって、しばらくは思うように動けていませんでした。その後も、誰々が感染した・してないの情報に混乱したり、感染対策への意識や考え方の差を感じて単純に恐怖だったり、隔離施設に入ることを考えるとストレス感じることもあって、そういう時は「よし!無理せず家に帰ってできることをやろう」とその場を離れたりすることもありました。

 

ですが、やっぱり外に出て人と話すと楽しくて、新しい出会いや発見があって、ラオ語の勉強のモチベーションにもなって。そして、他の隊員が同じ状況下で頑張ってる様子をSNSで見て「私も負けてられん!」と、活動スイッチが入りました。

 

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郡内の生産グループでは、前回派遣時のクラッチバッグに引き続き、他の新商品開発や、すでにある商品のブラッシュアップを行っています。可愛い商品がいっぱいできてきたのに、これを売れる販路がないのが悔しい。国境あけるなら展示販売会や、イベント・お祭りのときのタラートナット(特設市みたいなもの)も再開してくれたっていいやん!と思う反面、生産者さん自身が店に立つので、それもまた感染リスクを高めるんだよなあと考えると控えてほしいなあと思ってしまいます。いやなもやもやだなあ。

 

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新たにODOP認証を受けた、バンビエンとルアンパバーンの間の山岳地帯にあるコーヒー農家さんは、とりあえず一度出張に行けるように企画書出して話をすすめながら、プロの視点から、コーヒーの感想や、栽培・加工の助言をもらえるように動いています。

 

また、隊員が派遣されている県内の紙布生産グループがODOP認証取得を受けられるように配属先と動きつつ、この村の和紙と、先に話した生産グループの竹編みの端材を再利用して何か作れないか、あれやこれや奮闘中・・・。

 

私が居る郡の周辺2郡にある食品関連の生産グループにも、新商品のアイデアやパッケージデザインの話をもっていけたらいいなーと思っていたらもう年が明けそうです。

 

それからこれは半分趣味なのですが、シンの縫製を2人の先生に習って、それを動画と資料にまとめて、どなたでも見ていただけるようにしてみようと思っています。今年中に1人目の先生から習い終えたところですが、難しくて頭が3回ほど爆ぜております。

 

私の任期は来年3月8日まで。その日には日本に居なければいけないので、フライトにもよりますが、実際に活動できるのは2月下旬までです。あと55日ぐらいですって、なんと恐ろしい。自分の能力の低さ、予定通りにいかない難しさ、おさまらないコロナの中、どこまでやれるか分からなくてちょっと焦ってますが、今やらなかったらもう一生やれないことだと思うので、あと1か月半全力で駆け抜けたいと思います。

 

最後に

この1年は本当に激動で、沈むとこまで沈んで、そのあとめちゃめちゃテンションあがって、感情の起伏が上にも下にもいけるとこまで行った1年間でした。今でも自分がここに居られることが信じられない時があるぐらいです。

 

いっそ隊員やめてやろうか、ラオス行くの諦めようかと何度も思った上半期の、しんどかったぶんのご褒美を、いま100倍返しで受け取っている気持ちで生活してます。こんな風に思えていることが本当に幸せですし、どこにも行けない(首都にも以前のように上京できない)からこそ任地にどっぷり浸かって今まで知らなかった任地を知れているのも事実なので、いまの状況に心から感謝して残りの任期を駆け抜けたいと思います。

 

このブログを読んでくださっている方、反応をくださる方も、いつもありがとうございます。とても励みになっております。自分がこの状況下でここに居ることは、もちろん活動のためでもありますが、ラオスが大好きなのにまだしばらくラオスに来れなさそうな方に、少しでも今のラオスをお届けできたらなあと思っています。来年も不定期で更新していきますので、引き続きご覧いただけますと幸いです。

 

ああ、花火がちょっとだけやかましくなってきた。もうすぐ2021年が終わるんだなあ。2022年はどんな年になるだろうか。任期を終えたらその先どんな生活が始まるんだろうか。あと15分、まっさらなスケジュール帳にやりたいことをいっぱい書きながら、2022年をスタートしたいと思います。

皆様も、よいお年をお迎えください。

 

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第1回コーヒーロースト&ドリップワークショップ@ADDPみんなのカフェ

さばいでぃー!

みなさん、こんにちは!お久しぶりです、ラオスのラオ子です。ここ最近、ラオスも日本と同じく冬(?)で、ラオス中部のビエンチャン県でも朝夕は気温が一桁台に。バイクでの通勤やシャワーがなかなか辛い日々でした。

 

それでも長袖を着たくない私は、家の中で炭を焚いて暖をとっていました。おかげで自分の部屋とキッチンは灰だらけ&煙たくなりましたが、炭火のコーヒー焙煎というささやかなぜいたくを手に入れられて幸せです。

 

寒いと言っていられるのもあと少しなので、この寒さごと楽しみたいと思っています。

 

 

さてさて、相変わらずブログもノートも更新はさーさー(ゆっくり)な私ですが、最近は師走という言葉がぴったりな、普段のゆるゆるラオス生活とはかけ離れた日々を送っていました。というのも、国際ボランティアデーのブースの手伝いや、先輩隊員の最終報告会、新隊員さん&先輩の歓送迎会、語学フォローアップ、終わったらすぐ隣の県で先輩・同期隊員の活動の見学と、任地以外での予定が立て続けに。

 

その中でいちばんのハイライトとなったのが、とある日本のNGOさんと一緒にコラボで実施させていただいた、コーヒーのローストとドリップのワークショップでした。

 

note.com

 

コーヒーはメインの活動とは関係なく、完全に趣味の範囲でやっていることなのですが、まさかまさか、コーヒー好きの輪っかがこんなに拡がるなんて!

 

今日はこのワークショップについて、やったこと、思ったことをあれこれ書いていきたいと思います。

 

みんなのカフェとの初コラボ!

 

このワークショップは、12月14日、首都ビエンチャンにある「みんなのカフェ」というお店をお借りして行いました。対象は、『特定非営利活動法人NPOアジアの障がい者活動を支援する会(以下、ADDPさん)』の就労支援としてこのカフェで働かれている、聴覚障害のあるスタッフさんたちです。

 

www.addp.jp

 

今回はJICA協力隊の活動としてではなく、完全に個人的な趣味の延長で、こぢんま~り、数人でやる予定でした。が!強力すぎる先輩隊員のヘルプと、遊びにきてくれたたくさんの人たちのおかげで、あっちでおしゃべりに花が咲き、こっちではコーヒーの良い香りがして、何やってるの??と覗いてくれる人も居て。最後はみんなでコーヒーを飲んで、いつのまにかとてもほんわかした空間ができあがっていました。

 

あの場所で一番楽しませてもらったのは間違いなく私です。来てくださった皆様、ご協力いただいた皆様、ありがとうございました。

 

・・・と、あまりに満足してしまって自分の言いたいことだけ言って終わりそうになりました。あぶないあぶない。

 

ワークショップ開催のきっかけ

 

今回このようなお話をいただいたのは、ADDPさんでパラスポーツを通じてラオスの障がいを持った人たちの自立支援をされている、Bさんと出会ったのがきっかけでした。

 

たまたま首都でのお食事会でご一緒したときに、ADDPさんのことや、Bさんの活動のこと、障がい者の就労支援のためのお店が市内にあることなどをざっくり教えていただきました。

 

 

ADDPさんが運営されている「みんなのカフェ」の1店舗目は、私の普段の生活圏内から少し離れたところにあります。

 

モーニングがアツいというのは先輩隊員から聞いていたものの、なかなか行く機会にありつけず。それからしばらく経った11月末の上京時、いつメン(死語?)で朝の予定がぴったり合ったので、皆でモーニングしにいくことにしました。

 

ふかふかのパンも、全部買いたくなってしまうクッキーもなにもかも美味しくて、そしてなにより、手話が分からないわたしたちにも伝わるようにオーダーシートと身振り手振りでうまく伝えてくれるスタッフさんたちの笑顔があまりに素敵で!!

 

初めてカフェに来た二日後には、

 

 

朝6時起きで、朝焼けの眩しいメコン川沿いを同任地隊員と一緒に40分ほどLSDトレーニングして、

 

 

モーニングセットと

 

 

美味しいコーヒーを、おかわりしに行っちゃいました。(笑)

 

そしてこの時、モーニングをいただきながらBさんと色々お話したあと、実際にパワーリフティングを体験させていただいて、パラ・スポーツのスゴさを目の当たりにすることになりました。

 

パラ・パワーリフティングは、下肢に障がいのある方たちのスポーツです。ベンチに横たわった状態で足をベンチの上で伸ばし、バーベルを持ち上げ、胸まで降ろして、もう一度持ち上げられれば成功、フォームが整っているか、左右対称に持ち上げられているかどうかも判定の材料になるシビアなスポーツです。現在ADDPさんで活躍されている選手の中には、男性で140キロ、女性で70キロを持ち上げられる方もいらっしゃるんだとか。

 

この日一緒にモーニングしに行った女性隊員と私は、パラどころかパワーリフティングすら初体験。25キロまではなんとか持てましたが、30キロのバーベルは胸まで降ろしたところで諦めました。実家で半俵(30㎏)の米を運んでいたので、それぐらいは持てるだろうと甘く見ていました。腕だけで支えるって、あんなにも力が必要で、そして自分で思っているよりもぜんぜん持ち上げられないものなんですね・・・。

 

LSDで消費したわずかなカロリーをはるかに超えるクッキーとフィナンシェを持って、みんなのカフェをあとにしました。

 

www.youtube.com

 

今回、自分たちがパワーリフティングを体験させてもらっただけでも色々考えるきっかけになったので、機会があれば次回ぜひ、実際の選手の練習風景を見せていただきたいなーなんて。なんて。

 

その後、私がインスタにのせていたコーヒー焙煎のストーリーを見て自分もローストに興味が湧いたと言ってくださり、もしよければ一緒にやってみませんか、じゃあ新しくオープンするカフェでやりましょう、どうせならいつもコーヒーを淹れているスタッフさんたちに体験してもらいましょう、と、トントン話が膨らみました。そして、今回のワークショップの企画を、ほくほく気分で任地に持ちかえったのでした。

 

ちなみにですが、パワーリフティングを体験した隊員と私は、翌日にバキバキの筋肉痛になりました。20キロ、25キロ、30キロと3回やっただけなのに、普段使わない筋肉だとあんなにダメージ受けるんですね・・・。「50キロぐらいいける」などと軽々しく言ってすみませんでした・・・。

 

ワークショップの準備

 

わたしはコーヒーを好きになってまだ浅いし、専門的に学んだわけでもありません。まずは、ルワンダに居るコーヒー隊員に色々尋ねながら、できる限り自分が今できる事で完結する範囲でやってみることにしました。

 

自分が何を伝えられるだろう、自分がカフェで働いたときどんなことを教えてもらっただろう、美味しいコーヒーってなんだろう、自分はどんなコーヒーが好きだろう、いつも何に気をつけているだろう、何にこだわっているだろう、いろんなことを考えながらつらつら書き出して、「はじめのいっぽ」にぴたっとはまるテーマと内容を探してみました。(殴り書きで字がお粗末につき、写真はぼやっとさせております。)

 

 

色々考えた結果たどり着いたのは、「まずはコーヒーを好きになってもらおう!」という小さな目標でした。

 

細かく挽いたコーヒーを煮出して、練乳であまあまにして飲むラオスのコーヒーとは全く違う文化の「ドリップコーヒー」。コーヒーの個性がストレートに表現される抽出方法だからこそ、新鮮でおいしいお豆をつかって、可能な限りの美味しさを引き出せる淹れ方で。淹れ方でまったく違う風味になる抽出方法だからこそ、せっかくなら美味しい一杯が淹れられるようになったらいいなあ、と、焙煎・抽出共に勉強中の私も一緒に学ぶ気持ちでやっていくことに。

 

ひとつひとつの内容をつきつめていくには半日では到底時間が足りないので、内容もかなり絞り込みました。まずは豆のローストとドリップの全体像を体験を体験してもらって、「コーヒーってこんなに面白いんや!」と思ってもらい、次につなげていくのが狙いです。

 

同任地のコーヒー大好き先輩隊員にこの話をしたところ、快く協力してもらえることになりました。職種が先生ということだけあって人に分かり易く説明することにも慣れてるし、コーヒーも詳しいし最強やん!!と、わたしはハイパー天下無双気分で資料の作成に取り掛かりました。

 

が!その後、あまりのラオ語のできなさ+今まで使ったことのない語彙+そもそも外から入ってきた文化でラオ語にどう当てはめていいのかわからない、という圧倒的力不足により即座に大敗。先輩隊員の手厚すぎるサポートと語学の先生のおかげで起死回生して、ぎりぎりまで資料の単語を直して、当日を迎えることとなりました。

 

まずはハンドピック

 

まずは豆を煎る工程を説明して、お豆をピッキングしていきます。いつも家で煎っているのは海外のお豆ばかりですが、せっかくなので今回はビエンチャン市内にあるカフェからラオスの生豆を購入してみました。

 

 

目の前にあるお豆をひとつぶひとつぶ選別しながら、欠点豆を取り除いていきます。

 

形が悪いお豆は均一に火が入らないほか、お豆が過成熟・未成熟だったりすると、それもまたコーヒーの雑味になってしまいます。また、虫食いのお豆も、虫食い穴の中がカビてしまって美味しさを損なう原因になるため、針であけたような小さな穴も見逃さずに除去していきます。

 

 

つづいてロースト

 

その後は、煎り方のお勉強。生豆からイタリアンローストまで、煎り具合によって味がどう変化するか、何で煎り具合を判断するかといった話を順に説明していきます。

 

私のつたないラオ語を、隣に座っている健聴者のスタッフさんがラオス手話で隣の女の子に伝えて、それを他のスタッフさんに詳しくラオス手話で伝えてもらう、という、私には大変ありがたいゆっくり進行。説明してもらっているあいだにカンペのラオ語をちらちら見つつ、そして私も簡単な手話をみんなから習いつつ。こちらが一方的に説明するだけではなく、徐々に皆からもいろんな質問が飛んでくるようになって、嬉しい。

 

 

資料をつくる段階でひとつ工夫が必要だったのは、通常、煎り具合は色と音で判断するという点でした。炭酸ガスが発生してはぜる、「ぱちぱち」という音と、その後焙煎をすすめていくことでコーヒーオイルが出たときの「ぴちぴち」という音、コーヒーの自家焙煎はこの二つを基準に深さを見極めていくのが一般的で、音が聴こえない場合に何で判断したらいいのかというのは皆目見当つかず。

 

そこで、イヤホンで耳をふさいでローストしてみました。実際に豆がはぜるのも火から外せば確認できるんだな、1ハゼのときはこんなにチャフが外れて煙が出ているんだな、2ハゼぐらいになると煙たい香りが強くなるな、と、耳以外から得られる情報って意外にたくさんあって、私にとって新しい学びになりました。

 

結果的に、振り続ける煎り器の中で豆がはぜるのを逐一確認するのは難しいため、煙、豆の色、においの変化などを伝えながら焙煎していきました。

 

 

浅く茶色になるまでは30センチぐらい火から離して中火でじっくり、その後は10センチほど火に近づけて、少し強火に。均一に火が入るように、10分以上振り続けます。

 

今回は200gをいちどに焙煎。結構腕が疲れるので、みんなで交代しながら煎っていきます。

 

 

お豆を500g用意していたので、1回目はフルシティローストまでしっかり焙煎し、2回目はハイローストぐらいで止めて、中煎りと深煎りを皆で飲み比べることにしました。

 

ラオスのお豆を中煎りで飲むのは初めての経験だったので、わたしもわくわくです。

 

いよいよドリップ 

 

煎り終わった後は先輩に交代!器具や挽き方、ドリップの仕方などを詳しく説明してもらいました。

 

ドリップの仕方は色々なやり方があって、コレという正解が無いだけにどれを伝えるか迷いましたが、最終的に自分たちが日本で働いていたカフェで教えてもらったやり方や分量に近いものに落ち着きました。

 

 

資料を作る段階で、ドリップの方法を調べているうちに、お湯に挽いたお豆を漬けてからそのまま全部ドリッパーで濾すという、浸漬式と濾過式の工程をどちらも行う面白いドリップ方法に出会いました。これなら時間と分量さえ守れば安定したドリップが淹れられるなと思い、隊員ドミトリーで前日に飲み比べ。

 

ドリップとフレンチプレスのちょうど間ぐらいの特徴で面白かったのですが、ラフに飲めるかと言われるとちょっと違う。フレンチプレスからザラザラ感を抜いたような味で、酸味はドリップに比べて強くなりました。最終的に、今回はまずスタンダードなところからということで、V60を使った一般的なドリップにしぼってやってみました。

 

 

まずはドリッパーにセットしたお豆を平らにならして、器具をしっかりあたためて、まずはお豆と同量のお湯を注いで蒸らして、そこから3回に分けてお湯を注いでー・・・と、先輩隊員のお手本を見たあと、ひとつひとつ皆で確認しながら、実際にドリップしてもらいました。

 

今回、パワポ8枚分(焙煎4枚、ドリップ4枚)を作って行きました。皆に配るためというよりも、情報を事前に整理して、それに必要な語彙を身に着けることが目的だったのですが、色んな人から色んな表現の仕方を教えてもらって頭がパーン!(笑)

 

なにも身につかないまま本番を迎えてしまいカンペを見ながら身振り手振り1割と顔9割で説明する私は、何も見ずにさらさら説明の言葉が出てくる先輩を見て「大迫半端ないって!!」な気分になりました。いやほんと、先輩半端ないって!!

 

 

煎りたての新鮮なお豆だからこその、香りと膨らみ方。蒸らしのときにぷくぷくに膨らむお豆の可愛さ、共感してもらえるようになったらうれしいなあ・・・。

 

煎っているときは、香ばしい香り。挽いてみると、フルーツのような甘みや、スパイスを感じさせる鮮やかな香り。そして淹れるときは、そのコーヒーが持っている個性を感じられる、繊細な香り。

 

コーヒーは、飲むときだけではなく、そこにいきつくまでのプロセスも、ぜんぶ楽しいのです。

 

 

ドリップしたらそれで終わり!ではなく、落とした後の豆かすをチェック。いい香りがたくさん残っていたら、蒸らし不足か落とすのが早すぎるかで抽出不足。すり鉢状にへこんだお豆に、きめ細かな泡が均等に残っていれば大成功!

 

いざ試飲!

 

煎りたて、淹れたてのコーヒー2種類。中煎り・深煎りをそれぞれみんなで試飲してみました。ワークショップの見学に来てくださっていた方たちにも飲んでいただいて、どっちが美味しかったか挙手してもらったところ、綺麗に半分ぐらいに分かれました!

 

ラオ人のみんなは浅く煎ったコーヒーを飲む習慣が無いので、3/4が深煎りに手を挙げましたが、中煎りには中煎りにしか感じられないお豆の個性があり、「すっぱい」で終わらせるのはもったいない!「おいしい酸味」について話せるようにまた自分自身もラオ語・コーヒーの知識・焙煎と抽出の技術を深めていきたいです。

 

ありがとうございました! 

 

ラオス語の手話で「I love you💛」のポーズで記念撮影し、無事に第1回ワークショップ終了!場所をお借りしたみんなのカフェさん&オーナーさん、スタッフさん、来てくださった皆様、ありがとうございました。

 

わたしもまだまだコーヒーが「すき」なだけで、知識も技術も人に伝えられるほどではないのですが、自分自身も勉強しながらみんなと楽しい時間と美味しいコーヒーが共有できてとても嬉しかったです。

  

 

自分自身、途上国で2年働いたなかでカフェの経営に関わったり、その後日本のカフェでバイトしたりして、小さな小さな「点」をつくってきたわけですが、それがじぶんのなかで線になって、色んな人と繋がるきっかけになっている実感があります。

 

日本のカフェで働いてコーヒーが好きになってからは家で、NTC(二本松訓練所)に入所してからは、班のなかでコーヒーメーカーと化しました。そしてラオスに来てからも、煎りたて淹れたてのコーヒーでほっこりする時間を共有できて、なんかもう、コーヒー最高です。

 

ずっと接客業ばかりやってきた経験から偉そうに言うと、数あるお店のなかからこの店を選んで来てくださるお客様に、最高の一杯を提供したい!!という気持ちがきっとコーヒーを美味しくするし、そのためにはコーヒーに対しての知識を深めることは不可欠だと思っています。学んだことを活かしたいと思うからこそまた、コーヒーが美味しくなっていく。そしてそのスキルやホスピタリティのすべてが、コーヒーだけでなくカフェの空間ぜんぶやコミュニケーションにも表れていくのではないかと。皆にとって、コーヒーを好きになることが、「もっと」と自分を高めるきっかけのひとつになればいいなあ。

 

 

私も、コーヒー、ラオ語共にピヨピヨのピヨなひよっこですが、こうやって楽しく学べる機会のおかげで「もっと」を得て、どちらも前向きに勉強していきたいという思いが強くなりました。

 

特にラオ語!このワークショップのあとに受けた語学フォローアップ訓練(赴任1年前後で受けられる訓練)で、「あ!この単語知ってる!!こないだ覚えたとこのやつや!!!!」という言葉にたくさん出会えて、コーヒーをきっかけに一歩進めたんだなあと実感できました。そして、パーサームー(手話)という新しいコミュニケーションの手段に触れ、自分の伝えたいことが伝わる嬉しさを久しぶりに感じました。もっとみんなと直接話ができるようになりたいなあ。

 

私はこのワークショップのためにコーヒーの知識を深め、それを正しく伝えるためにラオ語を勉強し、みんなはコーヒーを好きになってスキルを高め、1杯1杯気持ちを込めて淹れてくれたら、それだけで立派な「すわいかん(助け合い)」ですよね。これからも一緒に、楽しみながら勉強しましょう!

 

後日

 

みんなのカフェに再度お邪魔して、ワークショップ当日スタッフさんに代わってお店の事をされていたBさんと、ゆったりまったり復習会。お豆の選別からドリップまで、もう一度やってみることにしました。

 

 

焙煎は、チャフが舞うので外の机でやることに。

 

どの角度で振ったらどの筋肉に効くとか、理想の筋肉とか、普段はどんな筋トレしてるとか、そんな話で盛り上がりながらお豆をしゃかしゃか振っていると、近くの銀行にお勤めのラオ人の方々、在住外国人、観光客、赤ちゃんとお散歩中の近所のおばちゃん・・・色んな人たちが、「何してるの?」「良い香りだね」と足をとめてくださいました。

 

なんか、読んで字のごとく「みんなのカフェ」っぽくて、ええなあ。

 

 

ラオスのコーヒー栽培は、1915年の植民地時代にフランスから持ち込まれたところから始まりました。タイ・カンボジアとの国境を分かつチャンパサック県のボラベン高原を中心に現在も盛んに行われ、甘みがありエスプレッソに適したお豆は主に海外に輸出されているそうです。

 

だいたい深煎りの状態で売られていて、中煎り・浅煎りのものが飲める機会はあまり無いのですが、中煎りぐらいで飲んでみたら、合う、合う!!深煎りのとろりとした甘みも好きですが、中煎りでしか味わえないスパイシーさと、よく熟したフルーツみたいな甘みがたまりません!!

 

「フレンチプレスだったら何グラムの豆にどれだけお湯を注ぐの?」「中煎りと深煎りだったらどんなふうに味が違うの?」「日本人ってすっぱいコーヒーの方が好きなの?」と、ラオ人のお客様から質問攻めにあいながら、煎りたてのお豆を挽いてフレンチプレスに。

 

スマホにメモしてくださった方、動画を撮ってくださった方、「味見したい!!」と言ってくださった方。いろんな反応が見られて嬉しかったですし、私は「ラオ人はネルで濃く煮だして練乳のあまあまコーヒーを飲むのが好きなんだ!」と勝手に決めつけていましたが、ドリップやフレンチプレスの飲み方・淹れ方にも興味がある人もたくさん居ることが分かって嬉しかったです。自分の村の人たちの家に突撃お宅訪問してコーヒーセミナーやってみようかな。(笑)

 

次回に向けて

こんな素敵な場、1回きりにしてしまうのは勿体ないので、ぜひまた皆でわちゃわちゃコーヒーセミナーしたいなと・・・

 

まだ日も決まってませんが、資料作りを始めました!(笑)

 

 

今回のおさらいもして、新しいことも勉強して、次回はもっと良い時間にできたらいいなー。と、某隊員に仕入れてもらってきたケニアやエチオピアの生豆を見つめてにまにましながら色々企画中です。ああ~、エチオピアシダモグジがぷっくりぷくぷくでかわいいいいい・・・。

 

コーヒーは、ただの嗜好品にあらず!コーヒーになるまでのプロセス、ハンドピックやローストのゆったりした時間、その間のちょっとしたおしゃべり、淹れる時の香り、そしてコーヒーとスイーツの組み合わせ。みんなで時間を共有するためのツールとしての役割も果たしてくれます。一緒に楽しんでいただける方、ぜひワークショップ遊びにきてください!