さばいでぃー!
みなさんこんにちは、ラオスのラオ子です。
前回・前々回の、ラオ語子音アルファベット表、いかがでしたでしょうか。単語を覚えるだけでなく、音節の成り立ちもひとつひとつ理解できましたでしょうか。
さっぱりわからん!!という方は、いちどクリアにしてから次に進むもよし、とりあえず今日の内容を全部読んでみるもよしです。
今日も前回に引き続き1音節語をやっていきますよ!まだまだ短い言葉ばかりですので、1語1語どの子音+母音(+末子音)で成り立っているか、そして声調規則はどれなのか実際に確認していきましょう!
の、前に!
0 ສູນ 1 ໜຶ່ງ 2 ສອງ
3 ສາມ 4 ສີ່ 5 ຫ້າ
6 ຫົກ 7 ເຈັດ 8 ແປດ
9 ເກົ້າ 10 ສິບ
こちらが、0~10までの数字の読み方のラオ語です。前回わたしが行った解説のように、自分で解読してみましょう!
ステップ① 子音+母音(+末子音)に分解する
ステップ② 子音、母音、(末子音)の読み方を確認する
ステップ③ 子音の声調と、平音節か促音節かをそれぞれ確認する
ステップ④ 声調規則を特定する
ステップ⑤ どんな発音か予想してみる
まだ実践編で母音を網羅できていないので、最初から全部やるのは難しいと思います。まずはステップ①だけ、次はステップ②も、という風に段階を踏んでできることを増やしてもらえればいいかなと思います。
では!ひとつひとつ答え合わせをしていきましょう。
0~10までの数字
0 ສູນ
<発音>
ສ (s) + xູ (uu) + ນ (n) → suun
<声調規則>
頭子音: ສ (s) → 高子音
音節分類: ນ (n) → 平音節
声調: なし
よって声調規則は⑤上昇調
1 ໜຶ່ງ
<発音>
ໜ (n) + xຶ (ɯ) + xງ (ŋ) → nɯŋ
「ນ」の発音ですが、「ຫ」が付くことによって高子音になっています。
「ໜ」は、「ຫນ」と分けて書くこともできます。 (ex: ຫນຶ່ງ)
<声調規則>
頭子音: ໜ (n) → 高子音
音節分類: xງ (ŋ) → 平音節
声調: x່ → マイエーク
よって声調規則は①中平調
ສູນとໜຶ່ງ、どちらも無理やりカタカナに直すと「ン」で終わりますが、前者は「n」で後者は「ŋ」の末子音。この違い、わかりますか?
ゼロの「n」のときは、口を「いー」の形に閉じて、舌を上あごにくっつけます。鼻からハミングのように息を抜いた「んー」です。
イチの「ŋ」のときは、前の「ɯ」の音(笑顔で、「い」に近い「う」)から口を閉じずに「んごー」といいたいところですが、「ご」の発音をする直前で止めます。「n」のときは舌があがりますが、こちらの「ŋ」は舌根が落ちるイメージです。口は閉じません。
2 ສອງ
<発音>
ສ (s) + xໍ (oo) + ງ (ŋ) → sooŋ
この母音は、うしろに末子音が付くことで「xອx」という形に変化しますね。
ですので、「ສໍງ」ではなく「ສອງ」と書きます。
<声調規則>
頭子音: ສ (s) → 高子音
音節分類: ງ (ŋ) → 平音節
声調: なし
よって声調規則は⑤上昇調
3 ສາມ
<発音>
ສ (s) + xາ (aa) + ມ (m) → saam
<声調規則>
頭子音: ສ (s) → 高子音
音節分類: ມ (m) → 平音節
声調: なし
よって声調規則は⑤上昇調
これも最初は「ン」に聞こえるかもしれませんが、末子音は「m」です。「秋刀魚(さんま)」と発音するとき、「ま」の直前で唇がぴたっと閉じますよね。そのままガマンしてください。それが末子音の「m」の発音です。
4 ສີ່
<発音>
ສ (s) + xີ (ii) → sii
<声調規則>
頭子音: ສ (s) → 高子音
音節分類: xີ (ii) → 平音節
声調: x່ → マイエーク
よって声調規則は①中平調
5 ຫ້າ
<発音>
ຫ (h) + xາ (aa) → haa
<声調規則>
頭子音: ຫ (h) → 高子音
音節分類: xາ (aa) → 平音節
声調: x້ → マイトー
よって声調規則は②低降調
6 ຫົກ
<発音>
ຫ (h) + ໂxະ (o) + ກ (k) → hok
短母音の「o」のうしろに末子音がついているので、「ໂxະx」ではなく「xົx」という形に変化します。
<声調規則>
頭子音: ຫ (h) → 高子音
音節分類: ກ (k) → 促音節
母音: ໂxະ (o) → 短母音
よって声調規則は④中高調
最後の「k」の音が聞こえますか?
「𩸽(ホッケ)」と声に出して言ってみてください。そして、「ケ」を言いたい口と顔と気持ちのまま時間をとめてください。気持ちが大事です。最後まで声に出したらただのホッケですので、「hok」で止めてくださいね。
7 ເຈັດ
<発音>
ຈ (c) + ເxະ (e) + ດ (t) → cet
この短母音は、おしりに末子音が付いているのでເxັxに変化しています
<声調規則>
頭子音: ຈ (c) → 中子音
音節分類: ດ (t) → 促音節
母音: 短母音
よって声調規則は④中高調
「6(ຫົກ)」に引き続き促音節(小さい「っ」で終わる音)ですが、この違いをしっかり聞き分けられるように意識しましょう。
「チェダーチーズ」の「チェダー」の部分を言いたいんですが、「ダー」を言う直前で固まってみましょう。「6(ຫົກ)」のときの促音節は「ホッケ」と同じなので口を閉じなくても発音できますが、「チェダー」は舌が上あご(もしくは上前歯)に付かないと発音できませんよね。そのイメージで「k」と「d」の促音節を練習しましょう。
8 ແປດ
<発音>
ປ (p) + ແx (ee) + ດ (t) → peet
<声調規則>
頭子音: ປ (p) → 中子音
音節分類: ດ (t) → 促音節
母音: 長母音
よって声調規則は②低降調
9 ເກົ້າ
<発音>
ກ (k) + ເxົາ (aw) → kaw
<声調規則>
頭子音: ກ (k) → 中子音
音節分類: ເxົາ (aw) → 平音節
声調: x້ → マイトー
よって声調規則は③下降調
10 ສິບ
<発音>
ສ (s) + xິ (i) + ບ (p) → sip
<声調規則>
頭子音: ສ (s) → 高子音
音節分類: ບ (p) → 促音節
母音: 短母音
よって声調規則は④中高調
以上、0~10のラオ語の読み方でした。数字は活動でも生活でも絶対に使います。使わない日はありません。そして、ラオスの通貨は桁が多いのでただでさえややこしく感じます。お金のやりとりで失敗しないために、「ごちそうさま、いくら?」とスッとお金を支払ってかっこよくカオピヤック屋を立ち去れるように、数字を完璧に覚えていきましょう!
10より大きい数字
0から10までを覚えたら、11から19までの数は「10 ສິບ」 と1の位の組み合わせです!
11 → 10 + 1 → ສິບ ໜຶ່ງ
12 → 10 + 2 → ສິບ ສອງ
13 → 10 + 3 → ສິບ ສາມ
・・・と言いたいところですが、英語の「11 ( eleven)」みたいに、ラオ語も不規則な変化がひとつだけあります。
それが、「十の位が”1”のとき」です。
十の位が”1”のときは、「ໜຶ່ງ」ではなく「ເອດ」を使います。
11 ສິບເອັດ
<発音>
ສິບ = ສ (s) + xິ (i) + ບ (p) → sip
これは先ほどの”10”と同じですね。
ເອດ = ອ (ʔ) + ເxະ (e) + ດ(t) → et
前回も出てきました、ア行を示すため便宜上ອ(ʔ)を子音字として使った単語ですね。発音記号を示すときは、「ʔ」を省略して、「ʔet」ではなく「et」と実際の音のみを書いていますので注意してください。
<声調規則>
ສິບ
頭子音: ສ (s) → 高子音
音節分類: ບ (p) → 促音節
母音: 短母音
よって声調規則は④中高調
ເອດ
頭子音: ອ → 中子音
音節分類: ດ(t) → 促音節
母音: 短母音
よって声調規則は④中高調
ここで初めて、2音節の言葉がでてきました。2音節以上の単語の場合、最後の音節以外で短母音がつく④中高調や⑤上昇調は、①中平調に近いなだらかな発音になるように感じられます。はっきりと①中平調に変わるというよりも、前後についている音節の声調によって均されるイメージな気がします。(私見です。何か規則性ご存知の方教えてください)
特に一人目の女性の発音が分かり易いですね。ぜひ聴き比べてみてください!
「ສິບ」だけのときは音節の最後が明確にあがっていますが、「ສິບເອັດ」のときの「ສິບ」は上がっていません。
12 ສິບສອງ
<発音>
ສິບ = ສ (s) + xິ (i) + ບ (p) → sip
ສອງ = ສ (s) + xໍ (oo) + ງ (ŋ) → sooŋ
長母音「xໍ (oo)」は、末子音がつくことによって「xອx」という形に変化します。
<声調規則>
ສິບ
頭子音: ສ (s) → 高子音
音節分類: ບ (p) → 促音節
母音: 短母音
よって声調規則は④中高調
ສອງ
頭子音: ສ (s) → 高子音
音節分類: ງ (ŋ) → 平音節
声調: なし
よって声調規則は⑤上昇調
これは今までの単語の組み合わせですね。「10」と「2」で、「12」です。
同じ高子音の「ສ」から始まる音節が2つ並んでいますが、それぞれ声調規則が異なるので始まりの音が違います。「10」の部分は④中高調、「2」の部分は⑤上昇調です。2音節目はぐんと下に下がったところから始まっているのがお分かりいただけるでしょうか。
20 ຊາວ
<発音>
ຊ (s) + xາ (aa) + ວ (w) → saaw
<声調規則>
頭子音: ຊ (s) → 低子音
音節分類: ວ (w) → 平音節
声調: なし
よって声調規則は④中高調
30 ສາມສິບ
ラオ語では「10」と「20」だけは固有の単語を使いますが、「30」~「90」までは日本語と同じように「さん」と「じゅう」を合わせてことばを作ります。
つまり、「30」は「ສາມ+ສິບ」ということになりますね。
<発音>
ສ (s) + xາ (aa) + ມ (m) → saam
ສ (s) + xິ (i) + ບ (p) → sip
<声調規則>
ສາມ
頭子音: ສ (s) → 中子音
音節分類: ມ (m) → 平音節
声調: なし
よって声調規則は⑤上昇調
ສິບ
頭子音: ສ (s) → 中子音
音節分類: ບ (p) → 促音節
母音: 短母音
よって声調規則は④中高調
これも先ほど話した「2音節以上の言葉の場合」の声調変化が見られます。「3」だけの場合の「さーむ」と、この「さむしっぷ」の「さーむ」の部分を聞き比べてみてください。
40 ສີ່ສິບ
もう一つだけいきましょう!「4」「10」それぞれの音と、「40」で2音節になったときの音、どんな風に聴こえるか、比べてみてくださいね。
50~90までの数字は、これと同じ繰り返しになるので省略します。ということは、これで99まで数えられるようになりました!!
余談ですが、お隣のカンボジアも「さーむさっぷ (30)」「さーえさっぷ (40)」「はーさっぷ (50)」と似たような発音ですが、やはり10と20はそれぞれ固有の言葉があって「どっぷ (10)」「もぺい (20)」です。ちょっとした共通点。ですが、カンボジアでは5より大きい数は「5+1」「5+2」のような言い方をします。ラオスに来てすぐ、「8」のことを無意識にカンボジア風に「5+3」というような言い方をして、市場のおばちゃんを困らせてました。2音節以上の言葉(サンスクリット語からの借用?)は単語の発音もそっくりで本当にややこしいです。
100より大きい数字
ついでに100より大きい数字の単位も覚えてしまいましょう。ラオスの通貨「ກິບ」はゼロの数が多いので、10万ぐらいまでの単位は日常で使います。100万まで覚えておけば安心ですね。では、いってみましょう!
100 ຮ້ອຍ
<発音>
ຣ (h) + xໍ (oo) + ຍ(y) → hooy
長母音「xໍ (oo)」は末子音が付くことにより変化して「xອx」になります。もう何度か見たかたちですね。
<声調規則>
頭子音: ຣ (h) → 低子音
音節分類: ຍ(y) → 平音節
声調: x້ → マイトー
よって声調規則は③下降調
100 ລ້ອຍ
「100」には先ほどのຮ້ອຍと別にもう一種類の単語があります。それがこの「ລ້ອຍ」です。口語ではこちらのほうがよく使います。
<発音>
ລ (l) + xໍ (oo) + ຍ(y) → looy
xອx、、、もう大丈夫ですね??
<声調規則>
頭子音: ລ (l) → 低子音
音節分類: ຍ(y) → 平音節
声調: x້ → マイトー
よって声調規則は③下降調
1,000 ພັນ
<発音>
ພ (ph) + xະ (a) + ນ (n) → phan
<声調規則>
頭子音: ພ (ph) → 低子音
音節分類: ນ (n) → 平音節
声調: なし
よって声調規則は④中高調
10,000 ໝື່ນ
<発音>
ໝ (m) + xື (ɯɯ) + ນ (n) → mɯɯn
「ໝ」は「ຫມ」とも書けます。その場合は「ຫມື່ນ」となります。
<声調規則>
頭子音: ໝ (m) → 高子音
「ມ」は低子音ですが、「ຫ」がつくことによって高子音になります。
音節分類: ນ (n) → 平音節
声調: x່ → マイエーク
よって声調規則は①中平調
10,000 ສິບ ພັນ
これは、「10」に「1,000」の単位を付けることで「10,000」になる表現です。
例えば、
15,000 → 15千 → ສິບຫ້າພັນ
のように言います。
ラオスのお金は単位が大きく、1000より小さい単位が使われることはあまりありません。(私が500KIPを受け取るのは、3500KIPのソーダ水を買うときぐらいでした。)
市場で野菜を買うときも「1kg20000KIP」とか「1玉3000KIP」みたいな買い方をします。ですので、この言い方のほうが短くて言いやすいし、実際現地のひともこっちを使います。「ໝື່ນ」のことは、「そんなヤツ居たな。」ぐらいに思って頂ければ大丈夫です。
とはいえ、お金のやりとり以外でも数字は使いますので、もちろんこちらの単位も覚えてくださいね!
100,000 ແສນ
<発音>
ສ (s) + ແx (ee) ນ (n) → seen
<声調規則>
頭子音: ສ (s) → 高子音
音節分類: ນ (n) → 平音節
声調: なし
よって声調規則は⑤上昇調
1,000,000 ລ້ານ
<発音>
ລ (l) + xາ (aa) + ນ (n) → laan
<声調規則>
頭子音: ລ (l) → 低子音
音節分類: ນ (n) → 平音節
声調: x້ → マイトー
よって声調規則は③下降調
ここまでくると日常生活で使う頻度はそこまで高くありませんが、覚えておくに越したことはありません。
今日はここまで!
次回は、今日覚えた数字を使って、実際に数を読んだり書いたりしてみましょう。
今日お風呂に入ったら、「ぬん、そん、さーむ、しー、はー」ってお風呂の中で10数えられるようになるまで、あがってこないでくださいね!
それではまた次回!