さばいでぃー!
みなさんこんにちは!ラオスのラオ子です。GWも終わりですね。みなさま如何お過ごしですか。
ラオ語の末子音と母音の変化、なかなかのボリュームでしたね。作るだけ作ってあとから反省するんですが、皆さんなんとか消化してくださったでしょうか?
そして前回は、先輩隊員からいただいた資料を、そのままぺいっとjpegに書き出して爽やかに転載させていただきました。ブログの記事を書くのって結構孤独な作業なので、こうやって救いの手を差し伸べてもらえるとがぜんモチベーションあがります。ありがとうございます!!
そして今回はその読み書きの要素をまとめてきた最終回として、「声調」について説明していきたいと思います。
前回の更新からだいぶ時間が経ってしまいましたが、更新作業に飽きたからでも、忙しかったからでもなく、声調のはなしを自分でまとめるのが難しすぎたからです(笑)すぐに言語化できないってことは、自分の中でちゃんと理解できていなかったんだろうなあ。反省。
声調とは
一番最初の記事の中で、次のように説明しました。
「声調」がある言語というのは、話すときの声の高さ、抑揚によって意味が変わります。日本語話者の私たちには馴染みのないもののように感じますが、日本語にも声調によって意味が変わる言葉はたくさんあります。特に関西弁ネイティブの方には例えやすいのですが(自分がそうだから)、たとえば
「きいつかう」
これ、なんでしょうか。どんな意味に捉えましたか?
「きい」を降下させたら「木い使う」、上昇させたら「気い遣う」
それぞれ意味が変わりますよね。
ラオ語は、そういった抑揚が、全ての単語に割り当てられた言語です。ということは、その抑揚を覚えて正しく発音できるようにならないと、相手には伝わりません。
「むー」を、抑揚を付けずにまっすぐ読んだら「友達」、上昇させたら「豚」になります。間違えると大変です。ですので、声調を覚えるのはマストです!
そして、子音には、低子音、中子音、高子音の3種類があることもお話しましたね。それぞれの子音がどのグループに属するか、覚えていただいていますでしょうか。もしも「忘れた!」という方は、ぜひ次に進む前にもう一度さらっとおさらいしてください!
さてさて、ラオ語の子音には3つの声調があることはご理解いただけたかと思いますが、それとは別に「声調符号」というものが付くことによって音の高低に変化が出る場合があります。
ラオ語の声調符号は4つ!しかし、半分は擬態語や擬声語のときに使うもので普段は使わないので、普段使う2つさえ覚えれば全てクリアといっても過言ではありません!
では、あまり使わないほうから見ていきましょう!
【擬態語や擬声語、オノマトペ等で使う声調符号】
x໊ ໄມ່ ຕີ マイ ティー
x໋ ໄມ່ ຈັດຕະວາ マイ チャッタワー
この2つは前述した通りあまり使わないものですが、原則として先頭につく子音文字が中子音の場合につきます。
ບ໊ະ もう!!
ໄດ໋ ~しなさいよ
ຕີ໋ ~でしょ、~したら?
ດຸ໋ ~してね💛
という感じで使います。日本語勉強中の学生さんに「ດຸ໋」を使ったら「30歳の人が使うと少しショックがあるかもしれません!」って言われました、辛い!(笑)
こちらのふたつは「あーこんな声調あったなー」程度に覚えていただければひとまず大丈夫です。
というわけで、マイティーとマイッチャッタワーはクリアしたものとして、あとの二つを詳しく解説していきたいと思います!
【よく使う声調符号】
x່ ໄມ່ ເອກ マイ エーク
マイエークは、声調を中声にする符号です。発音した音を上げたり下げたりせずに、真っ直ぐ横に伸ばすときに使います。こちらはイメージしやすいですね。
x້ ໄມ່ ໂທ マイ トー
マイトーは、下降声調にするための符号です。高い位置・または低い位置から下降させるときに使います。日本語っぽく例えると、呆れた時の「もう!」とか、カラスの鳴き声「カー」みたいに、最初に発音した場所から下降します。
声調規則の見分け方
読み書きだけでいうならこれでおしまいなのですが、実際に発音するとなると、更に複雑に条件分岐していきます。ここからは、声調の決め方について見ていきたいと思います。
①子音の声調分類
まず一つ目の手順は、音節のあたまの子音が以下のどれに分類されているかを確認します。
①高子音
掘るように低く発音して上昇する音
ຂ ສ ຖ ຜ ຝ ຫ
②中子音
普通に発音して上昇する音
ກ ຈ ດ ຕ ບ ປ ຢ ອ
③低子音
高い音からゆるやかに上昇する音
ຄ ງ ຊ ຍ ທ ນ ພ ຟ ມ ຣ ລ ວ ຮ
②平音節か促音節か
二つ目の手順は、平音節か促音節かの分類です。これも「末子音」の回でちらっとお話しました。
平音節
平音節に分類されるものは、以下の2つです。
①「ん」「い」「お」「う」などの末子音
ງ ນ ມ ຍ ວ
②長母音
促音節
①「-k」「-t」「-p」など、日本語でいうと促音の「っ」で止まる末子音
ກ ດ ບ
②短母音
以上のように、ラオ語の末子音は、平音節5種類、促音節3種類にそれぞれ分類されています。
③ー②が平音節の場合 声調符号を見る
A. 声調符号なし
B. マイエーク
C. マイトー
③ー②が促音節の場合 母音の長短
A. 長母音
B. 短母音
以上のように、平音節は3種類、促音節は2種類、更に条件が分岐して、ようやくその音節の声調が決まります。
声調の種類
今までの説明をざっくりまとめます。
1.声調符号は4種類あり、そのうち普段使うのは2種類
①x່ マイエーク
②x້ マイトー
2.声調を決める要素は3つ
①子音の声調
②末子音が平音節か促音節か
③平音節の場合→声調符号があるか/促音節の場合→長母音か短母音か
次は、この「要素」によってどんな声調に分類されるのかを見ていきましょう。
下に示したのが、声調の種類です。本によって名称が異なりますが、一番分かりやすかったものに倣わせていただきました。
また、ラオ語も日本語と同じで、場所によって話し方や発音、方言などの癖があります。ここで学習するのは「ビエンチャン方言」という、主にラオス中部、首都近辺で話される言葉です。場所によって声調の数が変わったり、低子音と高子音が逆転したりしますが、まずは落ち着いてビエンチャン方言を覚えましょう。
こちらの表で説明していきます。声調は6種類あり、それぞれの声調の特徴を右側の矢印に示しています。例えば①の中平調であれば、発音した音をそのまま真っ直ぐ伸ばし続ける、③の下降調の場合は高い音からいっきに低い音まで下がる、という意味です。
まず、①の中平調を、自分が一番楽に出せる声より少し高めに出してみてください。
ということは、④はそれよりも少し高い音からはじまってもっと上へ。
③は、もっともっと高い音から始まって一番低いところまで下降します。
逆に②は、①よりも低めから更に低くなり、⑤はもっと低いところからいっきに一番高いところまで音が上がります。
そして、⑥は一番低いところで①と同じようにまっすぐ伸ばします。
こちらは、先ほどの「声調を決める要素」と、今紹介した「声調」を結びつけるための表です。
ກິນ (食べる)
ということばを例に見ていきましょう。
①子音の声調分類→最初の子音は「ກ」、これは中子音です。
②末子音が平音節か促音節か→末子音は「ນ」なので、平音節ですね。
③平音節なので、声調符号の有無→声調符号は何もついていません。
つまり、この言葉は中子音・平音節・声調符号なしの、⑤上昇調が正解となります。
同じようにあといくつかやってみましょう。
ມັກ 好き
①頭子音「ມ」は、低子音
②末子音「ກ」は、促音節
③母音「 xັ 」は、短母音
以上3つから、①中平調
ຂ້ອຍ 私
①頭子音「ຂ」は、高子音
②末子音「ຍ」は、平音節
③声調符号は「 ້x 」(マイトー)
つまり②低降調ですね。
ເບຍ ビール
①頭子音「ບ」は、中子音
②末子音なし。二重母音「ເXຍ」は長母音なので平音節
③声調符号なし
以上から⑤上昇調となります。
ຂ້ອຍ ມັກ ກິນ ເບຍ
並べ替えて読んでみると、「こい まっく きん びあ」、「私はビールを飲むのが大好き♡」という意味になります。
ラオスの大人コミュニティに溶け込むための魔法の言葉です。是非覚えてください!(下戸は絶対に言ってはいけません。私みたいになります。)
今日の講座、終わりです!
お察しの通り、そろそろ音声なしで説明するのが辛くなってきました(声調を音声なしで説明するのは不可能に近い!・・・と思います。笑)
文字の読み書きに必要な要素はもう殆ど説明し終わっているので、適宜音声付の本を用意していただくか、東京外大モジュールを活用して、この「ラオ語読み書き講座」を補完していただければ嬉しいです。
・・・といいつつ、JOCVのOBの方が音声の提供を申し出てくださっているので、順次このブログでも活用していけるように準備していく予定です!もうしばしお待ちください。